こどもの矯正ガイド
こどもの矯正ガイド
「うちの子は、受け口みたい」
「上の前歯が出ていて、口を閉じられずいつも前歯が見えている」
お子さまの歯並びはご家族にとって心配の種。歯並びや嚙み合わせが悪いまま成長すると、将来的にむし歯や歯周病リスクが高まり、健康に悪い影響を与えます。効果的な治療ができる小児期に矯正治療を受けることで、お子さまの健やかな成長を促すことができます。
治療を受けるタイミングや治療の必要性の判断はご家族には難しく、専門家でないと適切なアドバイスは難しいでしょう。ご家族が知りたい子どもの矯正治療のよくある質問について解答します。
どうして子供のうちに歯並びを治した方がいいの?
矯正治療の大きな目的のひとつは、食事を美味しく食べられるようになることです。歯並びがよくなると、歯磨きしやすくなってむし歯や歯周病になりにくくなります。70~80代になっても歯がたくさん残っていると、自分の歯で食事ができます。またしっかり嚙めるようになり、胃腸に負担がかからなくなるので健康な身体がつくれます。
また歯並びの悪さから生じる「見た目のコンプレックス」を取り除くことも大切な目的の一つです。特に思春期に差し掛かったお子様の「見た目」に対する気持ちは、大人が考えているよりかなり大きいようです。早めの治療でコンプレックスを取り除いてあげると、自然と笑顔が溢れるポジティブな性格に変われる方が多いのです。
悪い因子(悪い歯並びや嚙み合わせ)を早めに取り除けば、顎の成長が促されて健やかに成長することに繋がります。小児期は顎の成長を利用できるので、治療効果が高まり、永久歯に生え変わってからの治療が楽になり、より理想的な歯並びに整えられます。
<早期に矯正治療をするメリット>
- お口の中の環境が整う(長期の安定が期待できる)
- 歯磨きしやすくなるので、むし歯や歯周病の予防ができる
- 笑顔が増えて性格がポジティブになる
- 健康な身体をつくる
矯正しないとどうなるの?
悪い歯並びや嚙み合わせが悪いと、お子さまの成長を妨げてしまいます。
過蓋咬合
上の歯が下の歯に深く被さる「過蓋咬合」のお子さまの場合、下の歯を抑え込んでしまい、下顎の成長を妨げてしまいます。また、顎関節に負担がかかりやすくなり、将来、顎関節症になる可能性があります。
反対咬合・開口・上顎前突
上下の歯が反対に噛み合っている「反対咬合」は、前歯が開いた状態の開口、上顎が前に突き出ている出っ歯(上顎前突)などのお子さまには、下顎を前に出したり、舌や唇で歯を強く押す癖を持っている場合があります。こうした癖は、矯正装置を装着した時と同じ力が働き、将来的に手術が必要になったり、治療が難しくなる場合があるので早めの治療が必要です。
こうしたことから、小児期に治療をするのが望ましいと考えております。
診断を受けるタイミングは?
理想的には、5~6歳になったら、まず矯正を専門とする歯科医院の受診をお勧めします。目安は小学校入学前後ぐらいがいいでしょう。現状の歯並びや嚙み合わせをチェックして治療の必要性を判断します。その後、定期的に口腔内をチェックして治療のタイミングを見極めます。
歯並びが気になったらいつでも相談に来てください
お子さまの歯並びが気になったら、5歳になる前でもよいので早めに相談に来てください。症状が重い反対咬合や出っ歯、全体の歯が噛み合っていない場合などは、治療が必要なケースです。特徴的な症状がないとご家族が見逃してしまうケースがありますので、少しでも疑問を感じたらすぐにご相談ください。
子どもの矯正を始めるタイミングは?
一般的には6歳から7歳、永久歯の前歯と奥歯が生えてくる時期に、顎の変形が強いケースは幼児のうちに一度ご来院をお勧めしています。理想的には成長上にアンバランスの芽が出始めた頃から、何らかの対策を講じた方が良いでしょう。しかし、お顔が一人ひとり異なるように、歯や顎、そして心の成長はお子さまによって千差万別です。早い時期に矯正を始めた方が良いお子さまがいれば、しばらく成長を待ってから始めた方が良いお子さまもいます。
ひとついえることは、骨格の不調和をそのままにしておくと5年後・10年後に不調和が更に大きくなってしまい、その結果、矯正治療が難しくなる場合があります。もし、お子さまの歯並びが気になるようでしたら、なるべく早めに矯正を専門とする歯科医院を訪ねることをお勧めいたします。
指しゃぶりなどが歯並びに影響すると聞いたのですが
物を飲み込むときに舌を突き出し歯を押す癖(舌癖:ぜつへき)や指しゃぶりなどの癖は、歯並びに悪い影響を与える場合があります。これらの悪習慣のせいで、開咬(前歯が開いている)や上顎前突(いわゆる出っ歯)、あるいは反対咬合(受け口)といった悪い歯並びになりかけているお子さまは少なくありません。
こうしたお子さまには、矯正装着の他にMFT(筋機能療法)と呼ばれる口周りの筋肉のトレーニング方法をアドバイスします。MFTでは、舌、口唇および顔面の筋肉を強くしてバランスを良くし、正しく機能させられます。実際、矯正装置を付けなくともMFTのみで歯並びがある程度改善するケースもあります。
歯並びが悪いお子さまの中で、こうした癖が見られるお子さまをお持ちの親御さまは、ぜひ一度当院までご相談ください。お子さまに合った効果的なトレーニング方法をアドバイスさせていただきます。
子供でも目立たない矯正装置は使えるの?
昨今、目立つ矯正装置をつけているといじめの対象になる恐れがあります。そうなると、矯正をしたためにお子さまの心を傷つけてしまうことになりかねません。当院では楽しい矯正を心がけ、大人と同じホワイト・ブラケット+ホワイトワイヤーを使用しています。
就活中こそ矯正治療を!
高校生や大学生には、就職活動が間近に迫ってくると矯正装置を外して欲しいという人がいます。アメリカでは、矯正治療は一種のステータス。歯並びが悪いというだけで評価が低くなってしまいます。就活中に矯正治療をしていても、むしろ仕事や人生を前向きに考えている証とみられるようです。
就活のために装置を外してしまうと、せっかく整いかけた歯並びが元に戻ってしまいます。ネガティブに考えずに、意欲の高さをアピールする強力な武器として、前向きな自分を表現してみてはいかがでしょうか。
子どもの矯正治療の流れ
小児矯正は、大きく分けると第1期と第2期の2段階で、それぞれで治療を進めます。
ステップ1/第1期治療
この時期は永久歯が生えてくるスペースをつくったり、歯並びや顎の成長に悪影響を与える噛み合わせの改善をして、順調な顎の成長や歯の生え変わりを誘導します。第1期治療で理想的な結果が得られれば、第2期治療までいかずに治療が終了。期間が短くなり費用はかさみません。また第2期治療へ進む場合でも、永久歯を抜かず治療できる可能性がグッと高くなります。
ステップ2/第2期治療
第1期治療では完全に仕上げられない場合に行う治療です。基本的に成人治療と同様の治療です。
※初診時に永久歯が生え揃っている方は第2期治療からになります。